日本年金機構による差し押さえ

依頼内容

社会保険の未払いにより、日本年金機構から売掛金を差し押さえられ、経営続行不能となってしまった。

その直後に相談があり再建を引き受けた。

経緯

静岡県のS社は、社歴20年の印刷会社で順調に経営してきた。

しかし、パソコンなどの普及により徐々に経営は悪化したにも拘わらず、役員報酬の減額を始め給与減額も怠り、そのままにしていた為、社長に対しては未払い金となっていた。

一方で、未払いの為、お金を貰っている意識がなく税金・社会保険をそのままにしてしまい、滞納額が累積していった。

その滞納額が1,000万円を超えてしまい差し押さえになったのだった。

再生方針〈 長男設立の会社に転生 〉

会社設立

経営続行については社長にその意欲が無くなっていたので閉鎖することにした。

しかし営業面は顧客もあり、なんとか継続したいとの希望だった。

そこで長男に転じて生かす、つまり、

転生

により再建することとした。

再生方法

① 現行会社の閉鎖

会社を閉鎖することを関係先に報告、得意先や仕入れ先とは話し合いで円満に処理をした。

借入金は保証協会が代位弁済、そして保証協会サービサーに移行してからは連帯保証人として少額返済を続けることとした。

税金関係は、会社閉鎖決算により整理をした。

② 新会社の設立

2か月後、長男は新会社を設立。

きちんとした経営計画書を作成、歩み出した。

③ 旧会社からの引継ぎ

仕入れ先への未払い金などは旧会社からの営業権を譲渡したこととし、新会社が支払う形を取り、備品やリース物件、事務所などはそのまま引き継いだ。

こうして仕入先、顧客などへは迷惑をかけることなく、従来通りの業務を続けることが出来た。

結果

黒字転換

1年目の決算を黒字とし順調に歩み始め、
2年目に、新しい事務所に移転した。

現在、印刷業の殻を破り、新しい企画を練り、チャレンジを続けている。

その自分史などの企画が、県の経営革新計画の承認を受け、2期年も連続黒字決算を計上している。

再建コンサルタント:古川益一のコメント

古川益一

私は経営再建を、

「改革」「再生」「転生」

この3つの手法に分けていますが、「改革」と「再生」の違いが分かりにくいものと思います。

経営難の度合いにより分類していますが、「改革」は会社内部によるものであり、社外には銀行以外、影響を及ぼさないで進めていくものです。

これに対し「再生」は生まれ変わる意味であり、会社内部の事情を全関係先へ公表して協力を頂きながら再建していきます。

従って経営者の自覚と再建への強烈な熱意、
そして生まれ変わる覚悟が必要です。

しかし、その熱意や体力が続かない場合は、「転生」つまり、他に転じて生まれ変わらせます

さらにそれも出来ない場合は、「倒産」により会社を倒し、
新しい人生を産むように導きます。