水上温泉

前社長が突然辞任し会社を引き継いだが、赤字経営や様々な問題が発覚。先の見えなかった状況から理念経営により成長して脱却、経営を続けている。

今日までの経緯

昭和36年、祖父が現在の会社の前身となる温泉掘削、源泉の管理及び分湯業務を主とする会社を創業、昭和60年頃には日帰り入浴施設も開業しました。

昭和最後の温泉ブームもあり、たくさんのお客様が訪れる施設となりましたが、祖父が志半ばにして他界、その意思を継いだ父が平成2年に旅館を開業、現在の会社となりました。

しかし、平成4年には父も他界、その後は母が代表者として会社を切り盛りしてきました。

赤字経営の会社を引き継ぐ

平成17年1月に母と共同代表だった社長が突然辞任、いざ会社を引き継いでみると赤字経営だけにとどまらず、巨額な負債や様々な問題を抱えており再建は絶望的に思えました。

古川先生を紹介される

講義中の古川益一先生

そんな時に知人の紹介で古川先生に出会い、会社再建を依頼、28歳でそれまで現場での経験しかなかった私には社長業が全く分からず、気力もない状態でしたが、古川先生に「会社を辞めてもいいし、続けるなら勉強だと思って、どちらでもお手伝いしますよ」 と言ってもらえたことで一念発起しました。

経営再建計画書を作成してもらい、売上が減っても経営が成り立つように徹底的に無駄を無くし利益を確保、幾度もの交渉の結果、銀行の協力も得ることができ、何とか経営を続けていく目途が立ちました。

そこでリスタートとして経営理念を確立、それからはとにかく毎日のように古川先生に相談をしながら、教えて頂いたことを実践するだけで精一杯の毎日でしたが、様々な問題も方向性が見え、何とか経営を軌道に乗せることが出来ました。

経営理念の徹底

「理念なき経営は滅びる」と言われるように経営理念はなくてはならないものですが、まだ当時は社内全体にその意識が浸透しておらず、毎月の定例会議の中で、「経営の目的は経営理念を実現すること」として社員全員に徹底しました。

社員の問題

経営理念を徹底していくと、どうしても真意が伝わらず反発にあったり、また調和を乱したり辞めてしまう社員が出たりで、思う様に組織運営が出来ない状況に悩むことが増えてきました。

さらに私自身もこうあるべきとの思いから社員を叱ったり、人罪になってしまう社員に止む無く辞めてもらったりと、気持ちに余裕がない状態になっていました。

売上を増やしたブランディングの反動

旅館で働くスタッフ

それまでの一般的な旅館からの脱却としてブランディングの断行で様々な改革を行い、「温泉テーマパーク」として生まれ変わった当社は売上げが急激に増えました。

しかし、その反動でお客様からの不満足の声や社員の不満が増えたりして、クレーム対応や 人手不足などの問題にも悩まされることとなってしまい、過去最高を記録した翌年には売上げが減少、なかなか安定しませんでした。

経営理念の大切さ

売上が増え、それに伴い経費も上昇、結果的にお客様へのサービス低下を招いてしまったので、方針を変更することとしました。

「売上に拘らないでお客様へのオンリー1サービスを提供し、ナンバー1を目指す」

こととし、社員全員で努力しました。

その結果、売上は減少しましたが、お客様満足と働きがいある職場を目指すという理念を大切にして行動することで徐々にリピーターが増え、クレームも減り、それに伴い売上も順調に伸びて行きました。

経営者の品性

これまでの行動を振り返り、誰かのせいでなく全ての原因は自身にあることを自覚、社員を叱ることを止め、自主性に任せることと、長所だけを見ることに徹底しました

お陰様で社員にも恵まれ、社内全体が自主的にお客様満足のために頑張る雰囲気に変わりました。

それまでの社長としての悩みから、社員が頑張りすぎて「体調を崩していないか」 「しっかり休むことが出来ているか」という心配に変わり、「自分の体を第一に考えて休めるときは無理をしないでしっかり休養して下さい」と社員に声をかけるようになりました。

新型ウイルス感染症の自粛要請を乗り越える

そんな中、新型ウイルス感染症の猛威による緊急事態宣言の発令により、当館も休館を余儀なくされ資金も不足、しかし借入れも出来ず、一時は会社を辞めたいと思うほど追い込まれましたが、古川先生に協力頂き、営業再開、コロナ禍にも拘わらず、今日までたくさんのお客様に温泉を楽しんで頂く施設として運営をしています。

経営者としての品性を身に着ける

振り返ると経営者して未熟で何もわからなかったので、とにかく理念を大切にすることと古川先生の教えを実践し続けたことが結果的に良かったのだと思います。

これからは「経営理念の実現のため」はもちろんですが、「経営者としての品性を身に付けて行く」ことが自分にとっての目標であり、そのため日々勉強を出来ることに感謝しています。

社員と一心同体となった経営

古川益一先生

「一心同体」という四字熟語があります。

2 人以上の人が、心も身体も一つにして、あたかも一人の人のように固く結びつくこと、という意味ですが、なかなか難しいものです。

一心同体を可能にするには、考え方そのものから変えなければ実現は難しいものです。

R 旅館の経営は世間一般の経営とは異なっています。次の通りです。経営理念を分解し、身近なものに噛み砕いて全員が理解をしています。そして、それが絶対という考え方です。

  1. お客様に満足をしていただく 
    お客様が満足するなら、会社の利益よりもお客様を優先する。 会社の決め事であっても破って構わない。
  2. 地域と仲良くする
    地域社会と近隣との関係を会社経営以上に重視、貢献すると共に円満な関係作りに努力する。
  3. 働きやすい職場を作る
    やりがいを持って働いてもらうために、それぞれの長所を生かすことを考え、短所を直すことは考えない。

この結果、他の旅館はコロナ禍で当地区の売上が 60%に落ち込む中、前年比増を続けています。

売上増の要因は、リピーターの増加です。50 回も通って下さるお客様もおり、自分の別荘的感覚で捉えていられるようです

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