再生による再建事例

依頼内容

埼玉県のT工業社は、水浄化関係の特殊な工事を扱うベンチャー型企業である。

社長は技術者としては優秀だが、
経営者としては問題があった。

特に財務に疎く、資金難に苦しんでいた。経理担当は奥様だったが やはり知識に乏しく、経営破綻寸前に陥っていた

私が依頼に応じて訪問したのが、その月の20日である。

しかし、月末の資金繰りが出来ない状態だった。

分析

支払いは月末まで10日間しかない。

その会社へ着くなりすぐ3ヵ年の決算書と現状の収支計算書や借入金残高、債務など全て目を通した。

その結果、内部だけで再建出来るレベルではなく、多くの関係者の協力を得て再建するしかないことが分かった。

再建方針

全関係者へ協力

全関係者へ協力を得ながら再生する

各銀行、社会保険、税務署、仕入先などへの支払いは、ほぼ不可能な状態であった。

この場合は、全ての関係者から一挙に理解を得るために再生計画書を作成する必要があった。しかし、月末までに実質一週間しかない。

仕方なく、翌朝までに再生計画書の原案を作る必要があった。

再生計画書の作成

2月の厳寒の中、事務所へ布団を持ってきてもらい、机の上に並べて寝ることにした。

翌日明け方に布団へ入ることが出来たが、ほぼ徹夜をして原案が完成。早朝出勤してきた社長にパソコンで清書してもらい、お昼頃完成した。

各関係先との交渉

関連業者との交渉

月末の支払いや返済が出来ないので、午後から各債権先を訪問、返済猶予を取り付けていった。

  • 銀行は、5行あったが、全て廻り、金利のみとしてもらった。
  • 社会保険事務所と税務署への滞納額は12回払いとした。
  • 主な仕入先には、仕入代金の一部の支払猶予を取り付けた。

こうして、月末の資金繰り破綻をまぬがれた。

月間収支の黒字化

売上を減らしながら利益を上げる

この方針の基、利益率の低い業種からは撤退、確実に利益計上出来る業種に絞り込んだ。

そして、不用な備品、車輌、土地など全て処分した。

こうして、何とか営業利益を確保することができた。

再生結果

軌道に乗るまで約半年間、定期的に通い、各銀行を回り、社内の帳票類の整備、経理の単純化などを指導、何とか経営続行の目途がついた。

この間、私は近くの健康ランドへ泊った。

1泊2500円で、歌謡ショーもあり、楽しい思い出となった。