大手外食チェーン店

相談内容

赤字経営が続き、倒産寸前の外食店の再建依頼を受けた。

再建の経緯

ある大手外食チェーンのフランチャイズ店として3店舗を経営。

しかし、社長が難病を患ったため、奥様と長女が代わって経営するようになった。

しかし、昔から勤める社員達が身勝手わがままとなり、統制が取れず赤字が続き、店舗閉鎖に追い込まれようとしていた。

再建方針【経営の基本に立ち返る】

大手フランチャイズチェーンは本部の経営指導が確立しており、その指導に従っていけば発展していくものと思われるが、実際の会社運営まで立ち入ることは出来ないものである。

指導マニュアルを見ると経営理念、経営方針、PDSシステムまで完璧なものがつくられている。

大手外食チェーンのフランチャイズ店

要はこれを社員全員にいかに徹底させるかが「カギ」となる。

そこで、人事問題を中心に全てを見直し、基本を守り改革再建する方針とした。

再建のための立て直しの方法

① 就業規則の刷新

この会社のガンは昔からの店を任せてきた店長達だった。

自分の都合でルールを作って怠け、その分を若い社員に押し付けていたので、これを許さないために規則を修正、昼夜営業の勤務スケジュールや給与体系を作り替えた。

② 営業時間と勤務体制の変更

今まで販売量に関係なく、決まった社員数で昼夜営業をしていたが、ムラがあると思われたためこの営業体制にメスをいれた。

(1)昼夜営業の廃止

指導マニュアルでは事細かに取り決められているが、
ある程度、自由裁量の部分がある。

その中で年中無休は義務付けられているが、24時間営業は自由だった。

そこで24時間の各時間毎の売上と人件費や電気代を比較、費用対効果を調べた。

すると深夜2時頃からは赤字になっていた。
人件費や電気代をまかなえないのである。

このムダを廃止するために、営業時間を深夜2時で打ち切った。

(2)時間毎勤務体制の変更

各時間毎の売上高を徹底的に分析したところ、お客様が集中する11:00~14:00と17:00~20:00などは人手不足となり、その他は人手が余っていることが分かった。

これを、売上高に応じて必要人員を配した。

③ 借入金返済猶予の交渉と未払い金支払いや個人からの借入返済開始

社内体制が一新、黒字経営の基礎が出来上がったら、次は未払い金の返済猶予交渉だった。

あちらこちらから借金をしており、
身動きが取れなくなっていた。

フランチャイズの親元からも借り、いつフランチャイズ契約を解約されるか分からない状態だった。

また親戚、友人は返済を迫られないのでそのままにしており、
銀行へは約定通り必死に返済をしていた。

銀行は約束を守らなければならないと思っている経営者が多いが、決してそんなことはない

銀行に限らず、現状の窮状を訴え、将来の計画をキチンと示せば協力してくれるものである

まず、金利と返済額を分け、金利は払い、返済額は極少額にして頂いた

これにより浮いた資金を未払い金の返済に充て、
さらに親戚友人への少額返済を開始した。

④ フランチャイズ指導員との連携強化

フランチャイズチェーンは毎月、定期的に指導員が巡回、指導に当たってくれる。

今まで都合の悪いことは隠しがちだったが、全てを公開、再建計画書を提示、様々な相談に乗って頂き、応援して頂くようにした。

改革の結果

これらの改革により、ほぼ3ヵ月位で軌道に乗り、黒字会社に回復した。

V字回復の典型的な例である。

古参社員が辞めたため、のびのびとした社内ムードになった。

経営者とも風通しが良くなり働けば働くほど報われる給与システムにした為、特に若い社員が自主的に残業を望むようになり、労働基準局から長時間労働を注意されることを心配するほどになった。

経営の基本に立ち返ることが、いかに大切かを考える好例である。

経営方針の重要性

古川益一

大手フランチャイズチェーン参加のフランチャイズ店は、
どこも成功しています。

余程のことが無い限り、失敗はしないものです。

それは本部の経営方針が確立しているからです。

経営の基本に沿い、徹底的な指導を事項してくれるからこそ、それぞれの店舗が発展してゆきます。

自力で経営している店舗は、大手フランチャイズチェーンに負けないよう研鑽を積むことが生き残りの絶対条件のように思います。

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